FITが開始されて以来、注目されてきた木質バイオマス発電。近年、いくつかの課題が指摘される一方で、過去の課題を踏まえて、木質バイオマス事業における新たな取組みが始まっている。日本の森林環境、産業を見据えたこれらかの木質バイオマス活用について考えてみたい。

大型木質バイオマス発電の課題

日本は国土の7割を森に覆われた森林国家、この資源を活用して自然エネルギーを作り出すという木質バイオマス発電の構想は、間伐による森林保全や地方経済活性化など、さまざまな期待とともに始まった。2012年からはFITがスタートし、現在の木質バイオマス発電の稼働・認定状況は、未利用木材、一般木質などを合わせると、バイオマス全体の約4割と増えている。発電効率を重視した5,000kW以上の大型設備も多いといわれるが、そこにはリスクもある。未利用材で5,000kWの発電をしようとするなら、丸太換算で年間約8〜10万㎥もの木材が必要となる。しかし日本の森林は林業の衰退による人材や技術の不足、急斜面の搬出困難などの問題を抱え、いざ設備を運用しようにも原料供給が追いつかない、採算がとれないという事態になりかねない。

熱までムダにしない、コマツのバイオマス・コージェネ

 

もう一つの問題は、発電効率だ。たとえ大型化しても発電効率は約20%程度にしかならず、投入するエネルギーの多くは排熱としてムダになってしまう。そこで電気と排熱をともに利用する熱電供給、コージェネが注目されている。

建設機械メーカーのコマツでは、石川県の粟津にある自社工場に未利用間伐によるバイオマス・コージェネレーションを導入している。2015年からは地元の森林組合と恊働し本格稼働を進め、地域の林業活性化、工場の重油削減、CO2削減を行ってきた。その仕組みは、チップ燃料による発電と同時に、蒸気ボイラーから発生した熱を冷暖房用例温水に変換し、工場内の冷暖房に利用するというもの。これにより約70%もの熱利用効率が実現している。FITに頼らず、地域とともにwinwinの関係を築く、持続可能なバイオマス事業の好例だ。

どこでも発電できる、小型&モバイルシステム

また横浜市内の企業では、新たな設備開発も進んでいる。幅1,800mm、重さ1tほどのコンパクトな木質系廃棄物の移動式小型ガス化発電システムを、株式会社ストリートデザインが開発している。

「日本の森林管理の現状を考えるなら、まずは社会的に価値ある仕組み作りが大事です。現場のニーズに合わせたエネルギーの自産自消ができる、移動式の小型ガス化発電システムを作りました。これなら小型トラックに載せて移動できるので、必要な場所に持っていって発電することも可能です」とは代表取締役社長の坂本佳次郎氏。

日本の環境に即した、新たな木質バイオマスの可能性が各地で広がっている。

(文/ 一般社団法人スマート・ウィメンズ・コミュニティ代表理事 東みちよ)