(fm yokohama keep green & blue より転載)logo2

2015年8月29日、東京都の三菱総合研究所で「第3回 ヨコハマ ブルーカーボン アカデミー セミナー」が開催されました。3回目となる今回のセミナーでは、港湾空港技術研究所の桑江朝比呂さんを講師に迎え、「ブルーカーボン研究のこれまでとこれから…地球温暖化対策への切り札!?」をテーマに講義が行われました。

海洋生態系の研究を行ってきた桑江さんは、港空研・北大・東大の共同研究グループにより、日本沿岸の海草場が大気中のCO2吸収源であることを世界で初めて突き止めました。いわば“ブルーカーボンの第一人者”。桑江さんは「温室効果ガス排出削減には、最大限努力することが大切」と訴えます。

■桑江さんによるプレゼンテーション

 港湾の土砂の有効活用から研究を始めた桑江さんは「世界全体でみると、浅い海域では二酸化炭素を放出しています。ただ、東京湾や大阪湾では二酸化炭素を吸収しています」と述べました。理由のひとつとして、海草の存在が挙げられるそうです。浅瀬に生えているアマモなどは海流をゆるやかにし、濁りの物質をトラップし透明度を上げます。海草は硬くて分解されない上、泥の中には有機物を溜め込む力があります。

もうひとつの大きな理由として、下水処理場の存在を挙げていました。下水処理では炭素や窒素、リンなどを除去しようとします。海にはその残りカスが流れていきます。そうすると、植物プランクトンなどが二酸化炭素を吸収します。計算によると、下水処理を抑えて栄養を流した方がCO2をたくさん吸収するとのこと。実際に人間がいるところよりも、いないようなところの浅瀬の海では二酸化炭素を放出しているそうです。

 

■パネルディスカッションと質疑応答

 

パネルディスカッションでは、プレゼンテーションを行った桑江さんに加えて横浜市温暖化対策統括本部理事の信時正人さんが登壇。一般社団法人スマート・ウィメンズ・コミュニティ代表の東みちよさんがコーディネーターを務めて進行されました。

カーボンオフセット(自分が出した温室効果ガスに責任を持つ活動)に話題が展開すると、信時さんは横浜市の水源地である山梨県道志村と協定を結んだ「CO-DO30 つながりの森プロジェクト」の取り組みを紹介しました。すると、桑江さんは「京都議定書では、植林することによってカーボンオフセットがかけられると決まっているんですが、厳密には基礎研究を積み上げているわけではないんです。まず、行動から押してしまって後から検証するんです。海も見込みがついたら早めに行動するほかない。自然現象などは100年たったらどうなっているか分からない。だから待っている余裕はないんです」と主張していました。

今回のセミナーは、ブルーカーボンとは何か、研究はどこまで進んでいるのか、今後どうしていくべきなのかというお話がメーンでした。二酸化炭素の吸収は場所や土地柄によって違うそうです。また、研究を積み上げている間にも、環境は日々、刻々と変化してしいきます。まずは行動を起こすことが大事だということを学ぶことができた講義でした。

「第1回 ヨコハマ ブルーカーボン アカデミー セミナー」レポート
https://eco.fmyokohama.co.jp/feature/32191

「第2回 ヨコハマ ブルーカーボン アカデミー セミナー」レポート
https://eco.fmyokohama.co.jp/feature/32379

(Keep Green & Blue Web編集部)