6月27日、東京都・三菱総合研究所で「第1回 ヨコハマ ブルーカーボン アカデミー セミナー」が開催されました。このセミナーでは、ブルーカーボンから海を総合的に研究し、あわせて海の“源”である山や川との連携も追求していきます。第1回セミナーでは、「ブルーカーボンって何?」をテーマに講義が行われました。

amamo

ブルーカーボン事業とは?

横浜市では平成22年度より、脱温暖化プロジェクト「ブルーカーボン事業」を自治体としては先駆けてスタートさせました。この事業は海が吸収する温室効果ガスを測定、さらにはクレジット化を視野に入れ、カーボンオフセットにより海・海藻の再生を狙ったものです。横浜市の取り組みや考え方をベースに日本全国へのブルーカーボンの研究促進および知識の普及を促進させる目的で、計10回のセミナープロジェクト「ヨコハマ ブルーカーボン アカデミー」が立ち上がりました。
当日は、Fm yokohama「E-ne! ~good for you~」のDJ・MITSUMIさん、「Tresen+」のDJ・光邦さんほか70人もの聴講者が受講。各講師のお話を熱心に聞き入っていました。

東みちよ

                                  SWC代表 東みちよもコーディネーターとして参加

各講師によるプレゼンテーション

プレゼンテーションでは、東京海洋大学教授の刑部真弘さん、横浜市温暖化対策統括本部理事の信時正人さん、横浜八景島アクアリゾーツマネージャー飼育技師の蓑内真吾さんの3人が登壇しました。
海と機械テクノロジーによる新たな取り組みを研究している刑部さんは、本プロジェクト実行委員会の委員長。プレゼンテーションでは、科学的な観点からブルーカーボンの大切さを訴えました。刑部さんは「二酸化炭素の57%は大気、12.5%森林、30.5%は海が吸収します。ちょっと、海に関心を持っていただきたい。自然には治癒力を持っています。時に、治す力がなくなってしまうところまで追い込んでしまっている」と嘆いていました。

bluecarbon2現在、「横浜グリーンバレー構想」に尽力している信時さんは「これからは、海や川に面と向かっていく街づくりをしていかなければならない」と語ります。「横浜グリーンバレー構想」とは、横浜市金沢臨海地区を中心に、海洋を軸とした温暖化対策を民産学官が一体で推進していこうというもの。プレゼンテーションで、信時さんは世界トライアスロンシリーズ横浜大会での社会実験の取り組みなどを紹介しました。

蓑内さんは横浜八景島シーパラダイスの飼育技師を務めつつ、企画なども担当していらしゃいます。シーパラダイスでは環境の啓発活動にも力を入れています。なかでも、「うみファーム」は、本来持っている海の資源や海の恵みを皆さんにお伝えする機会を作りたいという思いから作られたそうです。そんなときに横浜市から「ブルーカーボン事業を一緒にやらないか」と声がかかったことから、「うみファーム」でブルーカーボン実証実験施設が作られました。蓑内さんは「地域社会、市民の皆様とブルーカーボン事業を末永く続けていきたい」と思いを明かしていました。<FMヨコハマ レポートより>

パネルディスカッションに参加して—-SWC 東みちよ

bluecarbon3 まず地球温暖化の影響は、海にも及んでいるということを、話し合いました。私たちは温暖化対策というと、森林によるCO2吸収=グリーンカーボンにばかり目がいきがちですが、実は海にも相当量のCO2が吸収されています。
「海は二酸化炭素の約3割を吸収しますが、それによって実は海が酸性化してしまうという問題もあります」と刑部先生。
酸性化によって、珊瑚の減少による生態系の変化など、海へ悪影響を及ぼすことも予測されています。そうしたなか、進められているのが、八景島シーパラダイスと横浜市の恊働による、海藻の育成や海育プログラムです。同社の蓑内さんは「海の干潟や海草を活用して、二酸化炭素を循環させる仕組みをつくることが大切。それらを見える化する場所として水族館などを使って欲しい」と主張。
ただし、現時点ではアマモなどの海草類によるCO2吸収量は、数値化、クレジット化はまだ難しいという課題があります。
「まずは自治体単位でそれを地域活性化に活かすことに意義があると思うのです。それで地域経済が回っていくことが、第一歩となるのでは」
本事業の実行委員長でもある刑部先生は、そんなふうに事業への意欲を語りました。

まずは温暖化と海の影響に、私たちが危機感を持って目を向けること。海洋国家日本、そして港湾都市横浜だからこそ、できることがあります。まずは地域の身近なことから始めてみよう、という問題提起となった第1回目でした。